【犬の健康】飼い主との分離時における犬のコルチゾール分泌パターンと睡眠構造の変化:ポリソムノグラフィーを用いた検討
「お留守番中、うちの子はちゃんと眠れているの?」飼い主と離れた犬に起きている睡眠とコルチゾールの変化 愛犬が留守番をしているとき、「きっと大人しく寝ているだろう」と思っている飼い主さんは多いのではないでしょうか。ところが科学の世界では、その「当たり前」をひっくり返すような研究結果が次々と報告されています。飼い主がそばにいないだけで、犬の睡眠の質は大きく変わり、ストレスホルモンの分泌パターンにも著しい変化が起きることがわかってきました。 コルチゾールとは?犬のストレス反応を理解しよう そもそも「コルチゾール」とは何でしょうか。 コルチゾール分泌のしくみはこうです。脳がストレスを感知すると、視床下部がCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)を放出し、それが下垂体を刺激してACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を血液中に送り出します。ACTHを受けた副腎が、最終的にコルチゾールを産生・分泌します。 急性のストレスが加わると、コルチゾールは素早く上昇し、体がエネルギーを総動員して消化などの「後回しにできる機能」を一時的に抑え、目の前の脅威への対応に集中できるようにします。 これは「闘うか逃げるか」という生存本能のための大切な反応です。 問題は、このコルチゾール高値の状態が続いてしまうときです。 短期的にはコルチゾールがエネルギー供給などに役立ちますが、長期にわたって高い状態が続くと免疫系が低下し、不安などの行動の変化にもつながることが明らかになっています。 飼い主と離されると、犬の唾液コルチゾールはどう変化するのか 飼い主との分離中、犬の唾液中のコルチゾール濃度が有意に上昇することが確認されており、飼い主との分離が犬にとって急性ストレスの要因となることが裏付けられています。 ある研究では、飼い主から引き離された犬は、飼い主の声やにおいを感知できる状況の犬と比べて、分離後わずか20分で唾液コルチゾールの濃度が有意に高いピーク値を示したことが報告されています。 つまり、「においでも感じられれば安心する」ということを示唆する非常に興味深い結果です。 また、不安に関連した行動を示す犬は、しばしばベースラインのコルチゾール値が高い傾向にあり、特に飼い主との分離時に唾液コルチゾールが上昇することも確認されています。 さらに...